これは・・すごい映画でした。
興味がある方はネット断ちして、すぐに借りてきて見るべき価値があると思います。
2010年 日本
監督:吉田大八
映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。
映画館にはなかなか行けないので、レンタルDVDでの鑑賞が主になります。
どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。
※今回はネタバレ無しです。
吉田大八監督と言えば、私も「桐島、部活やめるってよ」 感想 ネタバレ無し で感想を書かせていただいた名作の監督ですね。
私もこの桐嶋で初めて存じた監督でした。
映画は全体的に落ち着いたタッチで描かれていて、分かりやすすぎる過剰な演出やセリフはあまりありません。だからと言ってつまらない作品かと言われるとそうではなく、大半は「コント」といって差し支えない内容で大いに笑えます。
そんな笑えるシーンでもタッチはやはり落ち着いていて、とてもリアルな世界に見えるのですよね。逆にギャグのシーンなのに映画的に美しい描写だったりして、綿密につくられているんだろうなと感じられます。
舞台はさびれた田舎の漁業の町で、その閉塞した空気感や濃い人間関係がとてもリアル。そんな街で育っている若者は、男は一様にダメンズ、女も一様にそのウォーカーばかり。さらに長く生きていると、男はしょんぼり、女は一片の恥じらいも遠慮も忘れた豪胆者となるようです。
そんな町の、老いも若き(とはいえ30代)も女性陣が集まってくるのが、町に唯一の美容院である、「野ばら」。
題名の「パーマネント 野ばら」はお店の看板だったのですね。
店にたむろすおばちゃんたちは一様に同じパンチパーマをあて、日がなお菓子をほおばりながら、何のてらいも無しに下ネタに興じています。この内容が、現役なんですよね・・。もちろんギャグなのですが、ちょっと生々しくて苦手でした。でも、こんな面も後で大事な意味を持つのですが。
普通に幸せそうな人があまりいないこの町を、ちょっと客観的な視点から見ているのが主人公のなおこです。彼女は町を出て結婚した後、離婚して娘を連れて実家である野ばらに戻ってきました。だから彼女は町のダメなところを知っていますが、それを態度に出すことはありません。ただ一人、恋人のカシマとの逢瀬以外は。
なおこ役の菅野美穂さんの空気感が本当に素晴らしくて!
シングルマザーとしてつまらない場所に戻り、未来を失って生きているようなさびしい雰囲気、娘と一緒にいる時のやさしい母の表情、そしてカシマといるときのかわいらしさなど、映画同様抑えた演技なのだと思うのですが、感情がじわじわと伝わってきます。
そして話は・・と書きたいのですが、この映画では絶対にネタバレしたくないので我慢します。。
映画全体を通じて、一見地味ですが印象的なセリフやシーンが多いです。なので、出来ればじっくり集中して、一つ一つの表現を感受できる状況で観賞していただければと思います。
そうすれば終盤のある出来事を通じて、この映画のディティールのひとつひとつが、美しく輝きだすことを体感できるかも。
この作品って、海外では紹介されたのかな?
日本人にしか分からないような感動を得られた、本当に素晴らしい作品。
あ~書きたい!