この記事では、ミニバスのかっこいいスポーツ写真を撮影するためのコツについてご紹介しています。
筆者の娘がミニバスチームに参加していて、たまに写真を撮影させてもらっています。
そこで感じているのが、ミニバスって実はひじょ~に写真撮影が難しい!
なのに、あまりネット上に情報も多くありません。
そこでこの記事では、筆者のミニバスの写真撮影の基本的なやり方と共に、難しいなりにカッコよく撮影するコツについてご紹介します。
いちおう、他の保護者の方に喜んでいただけているようなので、そのレベルの撮影は十分にできると思います。
※筆者は子供の写真を撮ることを趣味にして10数年、趣味が高じてフォトマスター検定1級にも合格してしました。本業ではありませんが、写真関連のお仕事もちらちらとさせていただいております。
このような筆者の視点から書かせていただきました。
まずは基本的な撮影の設定をお伝えし、次いでミニバス撮影の難しさをご紹介した後で、より良い写真
※個人やチームが特定できてしまうので、写真は極力載せていません。
参考になる写真を載せられず、ごめんなさい・・。
ミニバス撮影の基本機材と設定
まずはミニバスを撮影する場合の基本初心者向けの設定について、筆者のおすすめをご紹介します。
概要としては、次の通りです。
- レンズは200mm程度の望遠レンズを使う
- カメラの露出設定はマニュアルで
- AFはコンティニュアス&エリアは中央一点で
- シャッターは連射モードで
- レンズの手振れ補正機能はONに
- 日の丸構図で撮影する
- 写真を選別する
- 縦長写真を多くする
それぞれ、詳しくご紹介しますね。
レンズは200mm程度の望遠レンズを使う
保護者が写真を撮るのがコートサイドの場合、望遠レンズは200mm程度までで大丈夫です。
200mmでも近くのゴール前では、迫力のある写真が撮れます。
遠い側のゴール前の写真などは小さくなってしまいますが、後述するようにトリミングするので、ある程度小さく見えても大丈夫です。
むしろ近い側のゴールそばの写真をたくさん撮影するように意識しましょう。
カメラの露出設定はマニュアルで
撮影モード | マニュアル |
F値 | 使用するレンズの最小値に設定 |
シャッタースピード | 1/1000秒を基準にして、調整 |
ISO感度 | Auto |
カメラの設定はマニュアルにして、ISOをオートとします。
F値は、レンズの最小値で固定します。
シャッタースピードは1/1000程度を基準にして、試してみましょう。
出場している選手のスピードによって、必要になるシャッタースピードは変わってきます。
走っている選手の手足の先がぶれているかどうかで、確認してみてください。
AFはコンティニュアス&エリアは中央一点で
AFは、被写体を追従してAFを合わせ続けるAF-Cを使用します(Canon機の場合"サーボAF")。
AFエリアの設定については好みが分かれると思います。
筆者は中央一点にして、撮影したい選手ユニフォームにピントを合わせるようにしています。
瞳AFを使ってみましたが、目当ての選手ではなくその後ろの保護者や相手チームの選手にピントが合ってしまうことが多くあったため、人が入り組んでいるバスケでは使いづらいと感じました。
シャッターは連射モードで
シャッターは連射モードを使います。
シャッターチャンスがあった場合その瞬間だけを狙うのではなく、その前後を少し長めに、できるだけ早めに連射を始めて、終わり際も少しイメージより長めに連射を続けておくと、意外と良い写真が残ってくれる場合があります。
電子シャッターは反動が小さくてぶれにくい写真になりますが、カメラの電子シャッターの性能によっては歪みが出ます。
電子シャッターでゆがみが出てしまう場合は、機械式シャッターや先幕シャッターで撮影しましょう。
レンズの手振れ補正機能はONに
シャッタースピードの短い撮影とはいえ、私はボディもレンズも手振れ補正機能をONにしています。
理由は、後述する理由からこまめにシャッタースピードを変えることがあるからです。
私が使用しているRF70-200mm F4Lでは、手振れ補正機能にModeがあります。
Mode3が不規則な動きに追従するということで、ミニバス撮影の際にはMode3に設定しています。
日の丸構図で撮影する
選手は日の丸構図で撮影するのがおすすめです。
日の丸構図とは、真ん中に主体を置いて撮影すること。
バスケの場合は、この写真の主役の選手を真ん中に置いて撮影し、できるだけ全身が写るようにしましょう。
大きく写せなくても大丈夫。
あとでPCに取り込んだ後、現像ソフトを使って、かっこよくトリミング(切り抜き)すればよいのですから。
せっかくかっこいい瞬間にシャッターを切れたのに、その時に足元だけ写っていなかったりすると残念なので、小さくてもよいので構図の真ん中で、全身が入るように撮影しましょう。
望遠レンズを使っていると、近くの選手は大きく写りすぎてしまうので、広角側もうまく使ってみてください。
縦長写真を多くする
スポーツ撮影は、カメラを不通に構えての横撮影が一般的かと思いますが、保護者の方に向けた写真の場合は縦写真をメインにするのをおすすめします。
保護者の方は写真をスマホでご覧になることが多いので、縦長の写真が見やすくなります。
トリミングする場合でも、横長写真から縦長に切り抜くよりも、縦写真から抜き出す方がトリミングの量も少なくて済みます。
写真を選別する
カメラで撮影して終わりではありません。
PCに取り込んで、写真を選別して、選んだ写真を現像して完成です。
その際、連射で沢山の写真を撮影しているかと思います。
ミニバス撮影の難しさ
まずは基本設定についてお伝えしましたが、実際にはそう簡単に撮影はできません。
ミニバス撮影って難しいんです。
なぜ、ミニバスのスポーツ写真撮影は難しいのでしょうか。
それは、「暗い場所で、速い動きの選手を撮影しなければいけないから」です。
カメラは暗い場所の撮影はとても苦手。そんな環境で激しく動いている選手を撮影するのは、カメラにとってとても難しいのです。
具体的には、次のような難しさがあります。
- 体育館が暗いこと
- スピードのある動きを撮影すること
- 写真がノイズだらけになってしまう
- ピントが合わせづらい
詳しく説明しますね。
体育館が暗いこと
ミニバスの試合は、小学生の体育館で行われることがほとんど。
小学校の体育館は、日光が入らないうえに照明も弱いので、実はカメラにとって非常に暗い環境なのです。
「そんなことないよ。バスケをするには十分に明るいですよ」と思われるかもしれません。
ですが、それは人間の目が非常に優秀であるために、暗いところではそれに自動的に対応して明るく感じさせてくれているためなのです。
暗い場所から急に外に出ると、とてもまぶしく感じることがありますよね。それは暗いところに自動で目を慣らしてくれていたのです。
カメラはそうはいきません。光をそのまま受け取るしかできないため、暗い環境=光が少ない環境では、それを写すのが難しいのです。
しかもバスケはゴールを見上げるため、体育館の窓がまぶしくないようにカーテンを閉めてしまうこで、自然光がほとんど入りません。
私は娘のバスケの応援のために10カ所以上の体育館に行きましたが、いずれもカメラにとって暗い環境でした。
※ストロボで光を当てる方法もあるのですが、試合中の選手たちには邪魔でしかないのでそれは避けましょう。
写真は光を写すものなので、その光が少ない小学校の体育館は、とてもカメラには難しい環境なのです。
具体的に暗い場所でカメラで撮影する場合に問題になるのが、スピードとノイズです。
スピードのある動きを撮影すること
バスケットというスポーツは、選手の動きが速いですよね。これが暗い場所での撮影を難しくしています。
実は、暗いだけであればきれいな写真を撮る方法があります。
それは、「撮影する時間を延ばす」という方法です。
時間が延びるほど受光できる光の量が増えるので、明るくきれいに撮影ができます。
例えば、光を受け入れる時間が1秒から2秒と倍になれば、受け取る光の量も倍になるので、写真の明るさも倍になるのです。
例えば三脚でぶれないように長時間撮影すれば、ほとんど光のない夜でも綺麗に写せるんですよ。
なのですが、スポーツ撮影の場合はそうはいきません。
動いているものをピタッと止めて撮影するには、撮影時間をとても短くしないといけないのです。
動いているものを時間をかけて撮影すると、ぶれた写真になってしまうためです。
暗くて光の量が少ない場所にもかかわらず、スピードのある動きを撮影するために撮影時間を短くしなければいけない。
そのため、撮影が難しいのです。
写真がノイズだらけになってしまう
暗い場所で、短い時間で撮影することで何が問題なのでしょうか。
それは、写真が暗くなってしまうことです。
光の量が足りないので、明るい写真にはならないんですね。
そのような場合でも、写真を明るくすることはできます。
それは「感度を高くする」という方法です。感度とは、光の量に対してどれだけ反応するかということ。少ない光を大きく増幅させることで、明るくさせることができるのです。
ただ、感度を高くするとその弊害があります。
それはノイズが増えるということ。
せっかく一眼カメラを使ってきれいな写真を撮りたいのに、ザラザラした質感の悪い写真になってしまうのです。
ピントが合わせづらい
さらに、ピントの問題もあります。
暗い場所では受け取る光が足りないので、カメラもピント合わせが難しくなります。
スポーツ写真は動きが速いので、そもそもピント合わせが大変なうえに、暗いためにピントが合わせづらいのです。
これはカメラやレンズの性能にもよるので一概には言えませんが、どれだけ綺麗に撮れてもピントが合っていない写真は喜ばれません。
暗い中で速い動きを撮影することが、カメラにとってはとても難しいことがお分かりいただけますでしょうか。
ではこんな難しい環境で、どのようにして写真を撮影すればよいのでしょうか。
筆者が意識している具体的な方法について、ご紹介します。
ミニバスでも綺麗な写真を残す方法
さてここまでミニバスの撮影の難しい点をご紹介してきましたが、これらの難しさをどのように回避して撮影するのか。
大前提としては、100点の写真は無理と言ってしまっていいかと思います。
その中で、できるだけ綺麗でかっこいい写真を残すことを考えてみましょう。
難しいミニバス撮影でも綺麗な写真を残すため、筆者が工夫しているのは、以下のことです。
- 目指すのは、ピントが合ってブレが無い写真
- できるだけ良い機材を使う
- シャッタースピードをできるだけ遅くする
- 現像ソフトを使ってノイズ除去をしたり明るさを足す
詳しくお話ししますね。
目指すのは、ピントが合っていてブレが無い写真
まず大前提として、最低限目指すのは、
- メインの被写体となる選手が、はっきりくっきりばっちりピントが合っていること
- ブレていないこと
- メインの被写体の選手が、しっかりと見えること
です。
これからひとつでも欠けていたら、残念ながら失敗写真と言ってよいかと思います。
厳しい環境でも、このような写真を撮る為にはどうすればよいのでしょうか。
できるだけスペックが高い機材を使う
まず機材については、お手持ちの中で最もスペックが高いものを選んでください。
レンズであれば、できるだけF値が小さい望遠レンズ。
そして、カメラもできるだけセンサーサイズの大きなカメラを使うことをおすすめいたします。
ちなみに私が使っているのは、EOS R6 Mark2というカメラに、RF70-200mm F4Lという組み合わせです。
F4通しの明るめの望遠レンズとフルサイズのカメラを組み合わせました。
ただ、こんな贅沢な組み合わせをお持ちの方も少ないですよね。
それでもお手もとにある機材の中で、最もスペックが高いものを使ってみてください。
シャッタースピードをできるだけ遅くする
シャッタースピードを微調整して、できるだけ遅くするように意識しています。
シャッタースピードが遅いほど光を受ける時間が延びることで明るくなり、ISO感度を下げることができるためです。
ミニバスを撮影する場合のシャッタースピード、私は基準を1/1000~1200秒としています。
娘のチームの写真を撮る場合は、大体これぐらいの早さがあればブレません。
例えば走りながらドリブルしているときの写真で、ボールや指先、足の先までピタッと止まるのがこのぐらいです。
それを基準に、調整します。
これで1/1000。ボールだけが若干ブレているのがわかります。
1/640だと、手足はブレないギリギリぐらいです。
プレーのスピードで調整する
学年によって、まだプレーのスピードが遅い場合は、少しシャッタースピードを下げてもブレのない写真になります。
低学年ですとスピードも動きも小さいので、1/600秒ぐらいでも大丈夫な場合も多いです。
撮影した写真のプレビューをみて、今コートに出ている選手に合わせたシャッタースピードに変更しましょう。
オンプレー以外の場面を狙う
プレー中以外のシーンを狙う場合は、シャッタースピードを極端に上げなくてもブレのない写真撮影ができます。
例えば選手が背番号チェックをしているシーンとか、フリースローのシーンとか、アウトオブバウンズでボールを入れるシーンとか。
フリースローのシーン。1/250で撮影できました。
さらに言うとベンチの選手の顔や、試合の合間のオフショットなどもねらい目です。
このようにボールが止まっている場面や試合中以外のシーンを狙うことで、シャッタースピードを下げての撮影が可能です。
ただ、望遠レンズを使っているかと思いますので、手ブレには気を付けましょう。
またシャッタースピードを下げたまま、戻すのを忘れてプレー中の写真を撮ってしまうミスもしがちです。ご注意ください。
ブレを活かした写真を撮る
これはちょっとテクニックも必要なのですが、シャッタースピードを下げて、ワザとブレを活かした写真を撮影することもできます。
例えば走っているシーンの手足がブレる程度のシャッタースピードに落とすことで、スピード感を演出できます。
また、「流し撮り」というテクニックも使うことが出来ます。
流し撮りとは、シャッタースピードを下げて、走る選手をレンズで追いかけて撮ることで、選手はブレていないけど背景は流れているように撮影する手法です。
走っている車を横から撮影していて、車ははっきり写っているうえで背景が流れているような写真を見たことはないでしょうか?これが流し撮りです。
流し撮りの場合、1/100以下ぐらいまで落としての撮影も可能なので、ISO感度をかなり下げることができます。
流し撮りした写真の一部。顔と体はブレなくバシッと写っています。
ただ、いずれも選手の顔や体がブレてしまってはいけません。
特に流し撮りは選手を追いかける技術が必要なので、試合本番のまでにちょっと練習することをおすすめいたします。
このように、できるだけシャッタースピードを長く出来るように調整することで、少しでも感度を下げるようにしています。
現像ソフトを使ってノイズ除去をしたり明るさを足す
できるだけISO感度を上げないように撮影しても、小学校の体育館の暗さでは感度が上がってしまいノイズの多い写真になってしまう可能性があります。
このような場合は、現像祖父とを使ってノイズ除去をしてみましょう。
ノイズ除去を適度にかけることで、きれいに見える写真になるかもしれません。
ノイズ除去をかけすぎると作り物みたいなすべすべの写真になってしまうので、適度にノイズを残してOK。
以下にサンプルをご紹介します。
元の写真。暗いし、ノイズだらけです。
現像ソフトで明るくして色合いも改善、ノイズも削除したところ。
ノイズ除去をやりすぎて、つるっつるになってしまった写真。
写真を保護者にお見せする場合にも、多くはスマホの小さな画面でご覧になるはずなので、ある程度ノイズが除去されれば、十分許容範囲になるはずです。
まとめ
保護者によるミニバス写真撮影のポイントについて、ご紹介しました。
撮影の基本は、次の通りです。
- レンズは200mm程度の望遠レンズを使う
- カメラの露出設定はマニュアルで
- AFはコンティニュアス&エリアは中央一点で
- シャッターは連射モードで
- レンズの手振れ補正機能はONに
- 日の丸構図で撮影する
- 写真を選別する
- 縦長写真を多くする