この夏、中小企業診断士という試験を受験しました。
この試験の存在に気付いた時点で、2023年度の試験までわずか2カ月しかありません。
そこで2年計画として、まず今年は2科目だけ科目合格狙いで勉強を始めて、その両方で合格をすることができました。
そこでこの記事では、まったくの予備知識ゼロから中小企業診断士1次試験で科目合格するために行った勉強方法をご紹介します。
来年合格を目指す自分自身への忘備録として、また同じように中小企業診断士の受験を検討している方に向けて、私の体験談が参考になれば嬉しいです。
中小企業診断士の一次試験、筆者の一年目の結果
改めて、私が一年目に勉強した結果について簡単にお伝えします。
結果としては、2科目を受検して、両方に合格できました。
詳細は後述しますが、この先に書いていることは、期待通りの結果を出すことができた方法です。
私は各分野の予備知識は全く無く、すべてイチからの勉強でした。それでも2カ月で狙っていた2科目の合格ができたので、実績はある方法であり、参考にしていただけるのではないかと思います。
中小企業診断士試験の概要
中小企業診断士はどのような試験なのか、まずは概要をご紹介しましょう。
中小企業診断士試験は、一次試験と二次試験という筆記試験があり、両方を突破した人が実務補習(または実務従事)を経て登録ができます。
一次試験は選択問題、二次試験は論文形式です。まずはこの筆記試験に合格することが重要です。
この記事は、主に一次試験についてお伝えしています。
一次試験の概要
一次試験は8月第一週あたりに土日の二日間に分けて行われる、下記の7科目のマークシート試験です。
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
この7つすべてに合格する必要があるわけですが、一度に全ての試験に合格しなければいけない、というものではありません。
合格した科目を持ち越して(最大2年)、最終的に7科目全てに合格すればよいというもの。
なので2~3か年計画とする場合は、科目を絞って勉強できるのです。
そしてもうひとつの特徴が、複数科目を同時に受けて一次試験合格を目指すメリットがあるというもの。
科目ごとの合格点は60点ですが、複数科目を同時に受けた場合、各科目の平均点が60点を超えた場合には合格になるのです。
※40点以下の科目があれば足切り不合格
例えば1年目で3科目にだけ合格していた場合で、2年目に残りの4教科を一気に受験して合格を目指す場合。
1年目の3科目は、それぞれ単体で60点以上取れていなければ科目合格にはなりません。
ですが2年目の4科目の合計が、4科目×60点の240点以上になれば合格なのです。
仮に苦手科目があってそれは60点に届かなかったとしても、ほかの科目でその足りない分を補えれば合格。
なので、
- どの科目に力を入れるのか
- 複数年で計画する場合はどの科目を最終年に持ってくるか
という戦略を立てられるわけです。
私は今回、準備期間が2カ月ということで、下記ふたつのみ受験しました。
1.経済学・経済政策
5.経営法務
なぜこの二つを選んだのでしょうか。
1年目に経済と法務のふたつを選んだ理由
経済と法務のふたつを選択した理由は、2年目に二次試験対策にもなる科目だけを残したかったからです。
二次試験は論述問題なのですが、範囲は下記科目と重複しています。
2.財務・会計
3.企業経営理論
4.運営管理
2ヶ年計画の私の場合、二次試験を受けられるのは2年目。一次試験で勉強した知識をそのまま二次に活かすために、それとは関係の無い科目については一年目に終わらせておきたかったのです。
なお、経済と法務以外にも二次試験に関係のない次の科目はあります。
6.経営情報システム
7.中小企業経営・中小企業政策
です。なぜこれらを受験しなかったのかというと、このうち経営情報システムは、私は情報処理技術者試験に合格していることで免除になるため。
中小企業経営・中小企業政策は、できれば合格してしまいたかったですが、2カ月の準備期間では時間が足りなかったため。
それぞれ来年に回しました。
以上のような戦略で、1年目と2年目の科目を決定したというわけです。
中小企業診断士の試験は初めてであったので準備の方法も不安なままでしたが、基本的には過去に合格した資格試験のやり方を踏襲し、結果を出すことができました。
それでは、私が行った具体的な勉強方法について、ご紹介します。
一次試験科目合格狙いで行った勉強法
中小企業診断士の一次試験で、科目合格(個別で60点以上)を狙って私が行った勉強方法について紹介します。
この方法で受験した経済と法務ですが、それぞれ64点、68点というギリギリのラインで合格できました。
2カ月で2科目なので、月に1科目で仕上げるための方法、という感じですね。
勉強の手順は下記の通りです。
- 最新の過去問題集(5年分)とテキストを購入する
- 過去問の解説で深く学ぶ
- 過去問を周回する
- 直前期には不安な問題のみ繰り返す
それぞれ、解説しますね。
最新の過去問題集(5年分)とテキストを購入する
時間が無いため、いきなり過去問を使って勉強します。
メイン教材は過去問題集+補助のテキストのみ。
そのため、まずは過去問題集とテキストを購入しました。
どの過去問がいいのかというと、解説がわかりやすいものがおすすめです。
過去問題で勉強を始めても、これまで知識のない科目では解らないことだらけですよね。そのため解説が丁寧で、いきなり読んでも論点が理解できるものが良いでしょう。
過去問の解説だけでは理解できない場合もあります。その時に参考にするのがテキスト(参考書)です。情報が整理されているので、疑問点を調べた際にその周辺まで含めた体系的な知識として学べます。
この時重要なのが、参考書もメルカリなどの中古ではなく、最新刊を購入すること。特に法律が絡む科目では法律が変わっていることがあるため、古い情報で勉強をするとかえって誤った内容を覚えてしまう可能性があるからです。
実際に、過去5年分の過去問の中には、今の法律と異なる問題がありました。
ですが最新のものであれば、解説などで「令和〇〇年の改正により、こう変わっている」などと注記がされています。
そのために、できるだけ最新の書籍を購入することをおすすめします。
※中小企業診断士は科目が多いため、テキスト代もばかになりません。少しでも安く抑える方法を後述しているので、良ければ参考にしてください。
過去問の解説で深く学ぶ
過去問題集を使った勉強は、次のような手順でした。
- 過去問を一問解く
- わからない場合は解説を熟読して理解する
- 難しい場合はテキストを読む
- それでもわからなければネットで調べる
- それでもわからない問題は諦めて次に進む
基本は過去問+解説で勉強します。
過去問題を一題みて、当然わかりません。そこで解説を読んでその論点を理解します。
過去問を繰り返すため、試験当日まで解説も何度も読みします。そこで線を引いたりメモを残すのもすべて解説ページに行いました。
私なりの工夫としては、覚えるべき知識の部分には赤線を、その知識を応用したこの問題の考え方の部分には青線を、それぞれ引いたこと、読み返す際に、どこを重点的に読み返さなければいけないか、一目で確認できました。
最初のうちはこれでもわからないところがあるので、その部分のテキストを読みます。これによって、範囲全体の中のどの部分についての論点なのか、この論点の立ち位置やその水平知識の確認も行います。
それでも難しい場合は、ネットを見ましょう。経済に関しては一般的な知識であるため、Youtubueなどの解説動画が充実していました。経済はIS-LM分析などグラフ問題が多いのですが、こういったものはYoutubeを見たことで理解できたと思います(書籍だけでは無理だったかも)。
一問ごとに、深く学びます。深く学ぶとは選択肢の中から正解を選ぶだけではなくて、なぜこの選択肢はバツなのか、すべて理解するのです。
過去問を周回する
過去問題を一問一問丁寧に学びます。1年単位で2~3周した後、その前の年の過去問題に移動します。
そして5年分を解き終わったら、全体を周回しましょう。
- 1年分を単位として、それぞれ2~3周する
- 最終的には5年分を周回する
完全に理解できている問題以外は、毎回解説まで読み直します。
ただし、難しい問題は飛ばしましょう。中小企業診断士の一次試験では、二度と出題されないような、難しい問題も含まれています。このような問題は飛ばしていいので、とにかく基本問題、応用問題を解けるようになりましょう。
直前期には不安な問題のみ繰り返す
直前期は、自信のないところや暗記すべきものだけ、ざっと見直します。
そのために、見直す問題がすぐにわかるように準備しておくと良いかと思います。
私は過去問題集の見直したい問題に付箋を貼っておいて、直前期にその内容を単語帳に書き写して覚えました。
難しい論点はYoutubeを参照
過去問とテキスト以外には、Youtubeの動画も参考にさせていただきました。
特に経済学は他の試験でも試験科目に選択されていることが多いメジャーな科目であるため、充実していました。
経済の知識の無い私がとても参考になったのが、こちらの「はじめよう経済学」さんです。
経済学は、グラフの意味や論理展開を覚える必要があることが沢山あります。これらを全くの初心者でもわかりやすいように丁寧に説明してくださっているので私でもすんなりと理解できました。
また論点ごとに動画が分かれているので、例えば「IS-LM分析ってなんだ?」とわからないときにすぐに説明を聞くことができた点、とても助けていただきました。
このチャンネルの動画のおかげで、経済学に合格できたといっても過言ではありません。
独学で経済に苦労されている方は、このチャンネルを参考になさってみてください。
今回の勉強法で感じた良かった点と改善したい点
前述の通り、受験した二科目では合格点が取れたようです。
しかしいずれも60点台とギリギリ、というものでした。
良かった点
良かった点は、やはり過去問5年分だけで科目合格点が取れたことです。
中小企業診断士にはたくさんのテキストがあって、過去問題だけで足りるのかはとても不安でした。
ですが、5年分の過去問題に出題される論点をしっかり理解することで、「この問題は基本的な問題だ」、「この問題は解けなくてよい問題だ」というところまでわかるようになり、60点への目途を立てることができました。
また、多くの参考書やテキストを使うことなく、ノートを残すことも無く、すべての学習を過去問の解説部分に集約するだけで合格できたこと。
手を広げすぎずに、2冊だけで合格点に至れたのは安心しました。
改善したい点
とはいえ、改善したい点もあります。
それは、「もう少し余裕を持って合格点を取りたい」ということです。
1年目の試験では、「正解がわからないけど・・これでいいや」で選んだ選択肢の中にかなり正解があったことで、合格点に届きました。
「自信がある」問題は半分に少し足りないぐらいだったのです。
もちろんわからない問題は、確実に間違っている選択肢を削るなど、正解の可能性を高めています。それでも、運が悪ければ合格点に届かない可能性は十分にあったと思います。
そこで時間がある来年は、過去問5年分を超える勉強をしようと思います。
具体的には、中古で購入した古い年度の過去問題集か、「過去マス」という名でおなじみ、定番の問題集である「過去問マスター」も手を広げて、確実に合格点を取るという方針としたいと思います。
私が使用した問題集・テキスト
参考までに、私が使用した過去問題集とテキスト(参考書)を紹介します。
※下記に紹介している問題集などは2023年度版です!ご注意ください。24年度版が発売されたら、置き換えます。
過去問題集
使用した過去問題集は、TAC出版さんのものです。
小さめの書店でも売っていることや、解説が充実していることが決め手でした。
TAC出版の中小企業診断士のテキストや問題数は多々あるのですが、私が使用したのは「第1次試験過去問題集」のみです。
これを徹底的に深く学ぶ、という感じでした。
テキスト
問題集は過去問題を繰り返すとして、過去問の解説だけではわからないものや、より詳しく調べたい場合に使ったのが、こちらのテキストです。
こちらのまとめシートは前編と後編に分かれています。
前編は「企業経営理論・財務会計・運営管理」の二次試験に直結する科目。
後編は「経済学・経済政策、経営情報システム、経営法務、中小企業経営・政策」というその他の科目を掲載しています。
私は一年目は後編の範囲だけ受験するため、後編を購入しました。
TAC出版さんなどの受験予備校では、科目ごとの非常に詳しいテキストを出版されているのですが、このまとめシートであれば一冊で済みます。できるだけお金がかからないようにこれを選びました。
結果的には、非常に良かったです。
重要な論点のみまとまっているし、ダジャレのような語呂合わせも紹介してくれているのですが、これが意外とはまって記憶を助けてくれました。
とても良かったので、2023年版ですが前編を購入して来年の勉強を開始しています。
まとめ
中小企業診断士一次試験、二つの科目合格を短期間で狙った私の勉強のポイントは、
- 5年分の過去問題を使用する
- 過去問題集の解説で学ぶ
- テキストは一冊だけ、Youtubeなども使って学ぶ
でした。
ただ、これだけでは60点を超えるのがギリギリであったため、来年の一次試験対策では
- 5年分以上の過去問を解くか
- 過去問マスターを利用する
という方針としました。
参考になれば幸いです。
*1:情報システムは私の得意なジャンルなので、短時間の勉強で高得点が取れるかもしれません。そのためあえて受験して、他の試験の不足分を補うことを目指すかも