いや~、噂に違わぬ凄い作品でした。
もっと早く観ておけばよかった。
2012年 日本
監督:吉田大八
映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。
映画館にはなかなか行けないので、レンタルDVDでの鑑賞が主になります。
どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。
※今回はネタバレ無しです。
これは私には語るべき言葉がまだありません。鑑賞が終わって、誰かと語り合って自分の心にできた隙間を埋めて、やっと決着できる作品に思いました。
私はこの作品を、レンタル料が100円になるまで、完全に情報断ちしてみることができました。話題となった作品でこれができるのは、本当に恵まれています。
もしちょっとでも興味があったら、すぐさま駆けつけてご覧になってみてください。
ものすごい評判になっていることだけは知っていた私が100円になるまでこの作品を見なかったのは、決して安くなるのを待っていたわけではなく、青春映画を見るのが辛いという気持ちがあったからです。
高校時代が人生最大の暗黒期で、その頃を思い出すのが嫌だというのが一番ですが、そもそも昔を振り返ることも苦手ですし、若蔵の青臭い話も苦手、一方で可能性が沢山ある若者を今の歳で見る寂しさ、という諸々も重なってしまい、青春映画は手を伸ばすのにいつも躊躇してしまうのです。
ですがこの話は、決して高校時代だけの話ではありません。いや、ストーリーは高校の中だけであり、自分の暗黒ゾーンに久しぶりに自らスポットライト照らすはめになり身もだえましたが、テーマとしては全世代に向けた普遍的なものであった気がします。
話は群像劇なのですが、各々説明が極力少なくなっていて、ナレーションも全く無く、観客は教室内外の態度や発言で人となりを探ります。これって本当にあのころやっていたことと同じなのですよね。そして、かつての自分を思い出し、自分は誰に感情移入するのかを自覚することになり、ずっと蓋をしていた自分感なども見せつけられます。今でも変わってねぇじゃん・・とか気付かされるのです。嫌だ嫌だw
登場人物の大半は、結論がでないままエピソードが終わります。観終わった後、ぽっかり大きな穴がいくつも開いている感じなのです。その穴の場所や大きさは、鑑賞した人それぞれによって、全く違うと思われます。
そして、その穴について語り、その穴を親しい人と一緒に埋めたくなるのです。
なので、同世代の友人や、生活を共にしてきた夫婦などで一緒に観て、語り合ってほしい作品です。とりあえず嫁さんにも観てもらったけど、あまり熱くなってなくて残念・・。
私にとっては、本当に凄い作品でした。