他力と自力と

育児に追われるおじさんの、日記代わりの備忘録です

「アポカリプト」 感想 ネタバレ

異文化との対峙に大・興・奮!

 

2006年 アメリカ

監督:メル・ギブソン

映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。

映画館にはなかなか行けないので、レンタルDVDでの鑑賞が主になります。

どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。

 

 ※以下ネタバレありなので、ご注意ください。

 

冒頭、ジャガー・パウたち主人公の民族が、森の中、裸に股間を隠しただけの恰好で出てきます。顔や体には絵ではなく文様といったような刺青。言葉もわかりません。

武器は打製石器に見えますが、罠を仕掛けてバクを捕まえたりします。そしてその内臓を分け合います。

 

私は歴史に詳しくないので、どれぐらいの時代なのか把握はできません。なのですが、主人公たちは、仲間の一人に子供が出来ないことをネタに笑っています。今の感覚からするとデリカシーが無いことですが、私はここで「文化も価値観も異なる場所と時代の人間たち」ということを表現していると感じ、胃の腑に落ちました。

彼らの村に戻ると、やはり今の私たちとは異なる風習が丁寧に描写されます。その一つ一つに、私は違和感を感じます。性に対する距離感も、現代より近い感じ(「口でするのかよ!」とプレイは同じようなところを見せるのは面白かった)。

ですが、和気あいあいとした様子や、家族を愛するところなどの描写では同じ人間であるということを感じました。人間として我々と同じように、彼らも所属する文化の中でその価値観で、生活しているんだ、と文化的に距離はあるものの、感情移入できました。

面白かったのは、別の村人たちとのやり取りです。ふと出くわした時の緊張感の中、何もいわず物々交換をして、「襲わないよ」というを見せます。つまり、未知の相手でも文化的に同一である場合、ちょっとほっとできるのです。

 

ですがこの作品ではここから、圧倒的な異文化への恐怖を表現します。

まず、甲冑を着込んだ明らかに文化的に上位の、つまり戦闘力の高い他者が村を襲います。観ている側としては、我々と同じ人間である村人たちが蹂躙されるのを見せつけられます。神弓でも思ったのですが、こういうシーンを見ると、本当に現代の日本に産まれて良かったと心から思うわけですが・・。

ジャガー・パウは予感を感じていたため、妻子を竪穴に逃がすことができるのですが、あの紐が切られてスルスルと落ちるところは、パウはもちろん、恐る恐る手繰ったている妻の絶望も想像させられ、素晴らしいシーンでした。

 

村人たちは異文化の中心に連行されます。そこは大都会であり、人数も多く風習も異なり、高度かつ野蛮な文明をもつことを見せつけられます。異質な文化に連れてこられたパウ達と同様、観客も次々と驚かされます。風習、常識、そして圧倒的な人数。相手の風習に取り込まれ、涙を流す女性。自分たちの主張が全く通じない怖さも感じました。

そして、いけにえの儀式や、人間狩りによって、残虐な風習を見せ付けられます。

ですが、その残虐に見える側も、家族を大切にしている様子がありました。つまり、命の大切さが、現代とは異なるレベルですが、あるわけです。なのに、パウの仲間をはじめ、多くの人間が殺されていることが示されます。つまり、他の民族の命はとても軽視しているのがわかります。

 

人間狩りから逃げ出したパウは、彼らの文化圏を駆け抜け、森に逃げ込みます。

森入るとき、追っ手に対して「俺たちの森だ!」と伝えます。

パウは追っ手に自分たちの文化の表明したのだと感じました。

 

ここからの逃走劇と森に逃げ込んでからの反撃は、まさに興奮とカタルシス!そして、途中から豪雨により竪穴に隠れている妻と子が溺れてしまうというタイムサスペンス!さらにまさかの水中出産と(笑)、詰め込まれていて思わず笑ってしまうほど興奮させられました。サイコー!!

 

そしてクライマックス、キリスト教の船が到着しているのがわかります。つまり、先ほどの巨大な文明を上回る、さらに異なる文明によって彼らが滅ぼされるのだろうというところ終わりました。

 

私は、自分自身が所属する文化によって価値観が育まれています。そして、人間というのは、他の価値観を認めづらいものであり、その思いが暴走したら、他の文化、時代から見たら愚かしく野蛮なことしかねないし、今もしているのかもしれない、と改めて思いしらさせました。

 

そういった視点で見ても楽しかったですが、逃走と反撃アクションが最高の映画でした。