他力と自力と

家事と育児に追われるおじさんの、日記代わりの備忘録です

「寄生獣(前編)」 感想 ネタバレ

映画化は難しかったと思うのですが、普通に成功しているように感じました。面白かったです!

  

2014年:日本

監督:山崎貴

映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。

映画館にはなかなか行けないので、TVでの鑑賞が主になり    ます。

どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。

 

※以下ネタバレありなので、ご注意ください。

 

 

大ヒット連発ではあるものの、私の好みとしてはイマイチ相性が悪かった山崎貴監督と言うことで「自分には合わないかもな」と構えていたのですが、普通に面白くて集中して見入ってしまいました。

 

原作既読 

私は今年41歳になる世代なのですが、原作は確か高校生ぐらいの時に読みました。既に全巻単行本化されていたものを友人に借りて、夢中になって繰り返し読んだような覚えがあります。

私にとっては珍しく、原作を良く知った上での観賞となりました。

そして、当時から伝説的な漫画であり、多くの方がそれぞれの思い入れと共に読んでいる作品だと思いますので、そんな中で様々な制限のもとに映画化して評価が高いものにするのは難しいのではないか?とは思っていました。

 

ストーリーの取捨と組み合わせ

映画にする際の制約の一つとして、時間的な問題があると思います。この制約から原作そのままの映像化とはいかず、どこかしらを削って映画としての枠に収めないといけません。寄生獣は映画を前編後編に分けて二本分の時間まで枠を広げてはいます。ですが原作10巻分のどの要素を拾って後は捨てるのか、この辺のさじ加減が制作側の腕の見せ所になると思います。

この映画では、話の大枠は原作に沿っているようですが、その中の個々のエピソードを一緒にしたり前後させたり、エピソードも上手いことばらばらにして別の話とくっつけるなど、パズル的な工夫によって時間的な制約の中で大枠は伝わるような上手い作りになっていると感じました。

はしょられた部分はもちろん多いですが、見せ場はしっかりと映像化されていて満足度は高かったです。山崎監督の見事な手腕と言わざるを得ないでしょう!

 

制限の中での残酷描写

寄生獣のだいご味の一つは、やはり寄生生物となった頭が人を喰らうシーン。どうしても残酷にならざるをえませんが、一方でこの映画はPG12という制約(小学生は親同伴推奨)があります。あまりに過激なシーンは見せることはできません。

こういった制約も、血を少なくしたり喰い散らかした後の肉片を見せないなどの工夫をして見事に乗り越えていると思いました。

特に気に入ったのが、でかい風呂のような中で人間を食べるシーン。これによって食べているところを直接見せない上、血が身体に付かない=人間にばれないようにしているので、このような食べ方にも生物たちの「人間社会への適合」の程度も感じられて一石二鳥の素晴らしい表現でした。

 

母親神話

ここまで褒め一辺倒でしたが、ちょっと気になってしまう点もありました。

その筆頭が「母親神話」の存在です。原作との違いとして、父は既に死んでいることになっていて、母親側とのエピソードに絞っている点があります。もちろんそういった絞りは良いのですが、逆に母親と言う存在の神がかったところを表現しているんです。

父親が気付かない娘の変化を母親だけが気付いたりはまだいいのですが、決定的なのは母親に寄生したAとの対決のシーンで、やけどの跡の残る手が、自らの攻撃をずらすところ。脳を喰われているのに。

親になった今では、そういった神話はなんとなく鼻についてしまうようになりました。私だけの感想かもしれませんが。

 

アクションのスピード感

あと、期待していたアクションもいまいちだったような・・。寄生生物同士の戦いは、原作では人間では見えないぐらいの速さだったと思うのですが、そのスピード感があまり感じられず、爽快感はありませんでした。

新一の身体にミギーの細胞が入り込んだ後のAとの対決も、何故か新一が拳法みたいな体さばきを突然会得しているのですが、そこももっさりもっさりしていて残念でした。

そもそも新一の変化後ってあまり見せ場が無かったですよね。あのシーンも石投げが良かったな~。

 

大森南朋さん

実は私の妻が大森南朋さんのファンで、彼が出ているなら、ということで久しぶりに一緒に映画を観ることができたんですね。子供たちが寝ているすきに。本来大嫌いであろうキモチワルイ系映画なのに我慢してみていましたが、何と最後の最後にあれだけ。。

二人で「らしいね」って笑ってしまいましたが、やっぱり残念だったようです。後編に期待ですね(あんな最期になってはしまうでしょうが・・)。

 

まとめ

不安感が大きかったですが、多くの制約の中で見事な映画化となったと思います。原作を知らない人でも普通に映画として面白いのではないでしょうか。

ちょっと苦手な監督さんでしたが、山崎貴監督流石の手腕であったと思います。

 

後編も必ず!是非妻とみたいと思います!!