他力と自力と

育児に追われるおじさんの、日記代わりの備忘録です

「その街のこども 劇場版」 感想 ネタバレ

こんな世の中でも、生きていけるのかも。

 

2010年 日本

監督:京田光広

映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。

映画館にはなかなか行けないので、レンタルDVDでの鑑賞が主になります。

どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、防備録の感想駄文です。

 

※以下ネタバレありなので、ご注意ください。

 

ずっと観てみたかったのにレンタルに無かったため未見でしたが、帰り道の中古DVD屋にあったので購入。AM2時ごろ子供に蹴られたあと寝付けず別室で鑑賞。誰にも邪魔されず、集中して観ることができました。

 私はテレビで放送されたとき一瞬だけ見ていたのですが、そのシーンが例の居酒屋シーンで、とてもいたたまれなくなってチャンネルを変えてしまったのでした。おかげでほとんど内容を知ることなく鑑賞できました。

 

この作品にストーリーはほとんどありません。登場人物もほとんど二人だけ。二人が一晩、神戸の街を歩くだけの話です。

この二人はちょっとしたきっかけで共に移動することになるのですが、最初は信号を待っているときからとても距離があり、行動もちぐはぐです。

その後序盤の居酒屋で決別するシーンは、やはり嫌な気持ちになりました。というかこの二人がちょっとイヤなヤツなのです。

 

ですが、この二人が夜歩きながら震災以来の話を吐露するたびに心の距離が少しずつ近づき、そんな姿と行動に「人を想う」ことの素晴らしさ、そしてこんな世の中のささやかながら「救い」があることを教えてくれます。

 

公園に走って戻るシーン、私は一瞬、勇治が一人で去ってしまったのかと思いました。ですがその足が公園に向かっているのがわかった瞬間、心から嬉しかったのです。

そして、ゆっちのお父さんが手を振る姿。美夏に対する気持ち。

それについつい知らない人に手を振ってしまう勇治。「なんてあんたが」と突っ込まれていましたが、これらは相手の想いに答えたいという、人間らしい心ですよね。

 

私は二人の関係の変化がとても自然なものに見えました。絶望的な出来事に対して、15年たったって解消できるものは少ないのかもしれません。でも人間同士支えあうことで解消できるものもあるのかもしれない。そんなことを考えました。

 

ラストシーン、二人はまた信号待ちをして、今回は抱き合います。その目を閉じるような陳腐な演出ではなく、感謝とともに未来を見つめているような目に感じました。

 

地味ながら素晴らしい作品でした。

じっくりと落ち着いて観られる環境での鑑賞をお勧めします。