韓国映画の幅広さを見たり!
2015年:韓国
監督:ユン・ジョンビン
映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。
映画館にはなかなか行けないので、TVでの鑑賞が主になり ます。
どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。
※以下ネタバレありなので、ご注意ください。
予告もできるだけ見ずに予備知識無しで映画を観たい私は、非常に評価が高かった本作も、「韓国映画」「面白い」以外に情報を入れないままに鑑賞することができました。
すると、私にとっては意外や意外、娯楽アクション時代劇として明るく楽しめる映画だったのです。
またこの映画は私にとって、様々な場面やディティールの数々が私の中に埋もれていた多くの思い出の引き出しを刺激してくれた、という特徴がありました。
韓国のアクション娯楽時代劇
「群盗」なんていう硬派な名前にどんなにタフでヘビーな映画かと構えていたのですが、まさかの娯楽アクション、しかも時代劇でした。
マカロニ・ウェスタンぽい意図されたつくりはもちろんですが、私は大好きな韓国時代劇、神弓を思い出しました。子供に折檻するときに、立たせてふくらはぎを叩くのも共通でしたね。
悪徳官僚vs義賊
腐った世の中を義賊が叩く、悪を挫き弱き農民を助ける勧善懲悪もの。そのために仲間が集う、という意味では、中学生ぐらいに読んでいた水滸伝を思いだしました。水滸伝て存在自体、何年ぶりで思い出したんだろう。キーボードで打ったのは初めてでしょう(笑)
そして悪徳支配者が溜めこんでいた米を庶民にばら撒くと言えば、もちろん鼠小僧ですね。鼠小僧て存在自体(以下略)。
ユンの美しさ
今回のラスボスは、ユンという最強の武官にして美しき男です。
ユン役のカン・ドンウォンさん、私は初めて観たと思うのですが、まずその美しい顔よ!イケ面というレベルではなく、美しくも儚いような、それでいて能面のように見えたり冷酷に見えたり。そんな彼がまた強いのです。
剣術の戦い方も華やかで美しく、そして異常に強い!一度20人に囲まれた時、ここで話は終わるのかと思ったら、相手を壊滅させていましたね。ちょっと笑ってしまうぐらい強かったです。
私は最初に南斗水鳥拳のレイを思い出したのですが、レイがあのスタイルであのルックのままラオウの強さと言う感じですね。
智異山チュソルの本拠地
義賊団チョソルは世間とは隔絶されたような場所で生活しています。
そこでの暮らしぶりを町全体で丁寧にしっかりと描かれているため、ちょっと現世の酷い状況からみると浮世離れした桃源郷が、本当に実在感しているようにみえました。これに私は、ラストサムライの世界を想い出しました。
そして、その場所を襲撃されて蹂躙されます。狭い地形、そして町中の戦闘シーンに私は13人の刺客の落合宿の戦いを思い出しました。
ほかにも色々とあったような気がするのですが、軽く書くつもりが長くなってしまった。
以下感想です。
好きだった点
映画は普通に面白くて、役者の皆さんも素晴らしい!気楽に観る娯楽作としては全く文句ありません。
途中でハ・ジョンウさん(この方も役によって全く違う人に見えますな)演じるトチが強くなるシーケンス、もっと特訓シーンを入れて納得させてほしいなと思っていたのですが、これがちゃんとあの最強のラスボスに勝つ理屈になっていたのもまたお見事でした。
忘れたころに差し込まれる演出や、後から意味がわかって笑えるシーンなど工夫もこらされていて、作り手の皆さんの創意工夫、志の高さも感じました。
私にとってイマイチだった点
素晴らしい娯楽作に文句を付けるのは本当に野暮なのですが、備忘録として2点だけ書き残させていただくならば。。
ラスボスであるユンが追いつめられて最後に殺されるのは当然なのですが、私はあまりこの流れでカタルシスを感じることができませんでした。彼の複雑な事情も丁寧に説明されるため、ある種思い入れというか、かえって肩入れして、いやむしろ応援すらしてしまったんですね。
詐欺で土地を巻き上げ、農民もチョソルメンバーも残虐に殺してしまうような最悪な男なのですが、ヒドすぎてマヒしてしまったというか(土地のくだりの酷さには笑ってしまったほど)、彼が弟も甥っ子も殺せなかったことの方に何故か引っかかりを感じてしまったのです。
単純な巨悪が相手の勧善懲悪ものであれば、もっと無邪気に楽しめたかもなぁと感じました。
また、これは本当に私が悪いのですが、韓国映画で絶賛されていて名前が「群盗」ということから、勝手にハードな内容と思いこんでいて、そんな映画を見たい心境の時に観てしまったんですね。そうしたらこのような娯楽エンターテインメントであったので、ちょっと観たいものと違ったのでした。
特に売りのアクションが、もちろんスタイリッシュでカットも多い魅せる演出なのですが、私が準備していたような「重さ」とは種類の違うものでした。
前もって内容を知らない弊害なのですが、これによって素直に絶賛できる体制に無いまま観てしまったわけです。つまらないことですが、なにげに最後まで尾を引いてしまい、これはちょっと残念でした。
まとめ
ちょっと文句つけちゃいましたが、誰でも楽しめそうな娯楽作であり、普通に楽しめることは請け合いです。心の準備を誤っていた私も、135分は短く感じました。
「韓国映画というとこんな感じ」という私が勝手に持っていた枠のはるか先にあるようなエンターテインメントを見せつけられ、私は韓国映画の豊潤さを感じました。
アクション娯楽大作が観たい心境の時に、お勧めいたします!