他力と自力と

家事と育児に追われるおじさんの、日記代わりの備忘録です

「マッドマックス」 感想 ネタバレ

本能的な恐怖という興奮が湧きおこりました。

 

1979年:豪州

監督:ジョージ・ミラー

映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。

映画館にはなかなか行けないので、TVでの鑑賞が主になり    ます。

どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。

 

※以下ネタバレありなので、ご注意ください。

 

今年映画館で観賞できた映画は数少なかったですが、それでも人生ベスト級の作品と出会うことができました。それはもちろん、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」なわけですが、

tarijiri.hatenablog.com

私はマッドマックスシリーズの過去作を見たことがありませんでした。あまりに素晴らしい作品で過去作を知らずとも十二分に楽しめましたが、過去作のオマージュが多いそうなのでこの作品を観返す前に過去作を全てトレースしようと決め、今回その記念すべき一作目をようやく観賞できました。

 

低予算感

最初に感じたのが低予算感でした。

デスロードがルックとしてもリッチな映画であったため、36年前とはいえ普通の田舎道だけでロケしている感じにいかにも金がかかっていない感じがしました。

Wikiで調べてみると、低予算どころか一時は「制作費と興行収入の差が最も大きい映画」としてギネスブックに掲載されていたほどの作品だったようです。

最後まで金がかからないロケがほとんどで安っぽさはありましたが、そこが逆に土臭さというか生々しさというか、不思議な魅力になっていました。

 

雑なあらすじ

最初にチョー雑にあらすじをざっと書いてしまうと、映画の設定は「 暴走族による凶悪事件が多発する社会となった近未来の荒廃したオーストラリア」。暴走族専門の特殊警察であるMFPのマックス(メル・ギブソン)は、暴走族の重要なメンバーであるナイトライダーを追跡のすえ事故死させてしまいます。

暴走族がマックスに復讐しようとしていると聞いたマックスは、同僚も無残に殺されて恐怖を感じ、1ヶ月の休暇を取ります。

その先で暴走族に襲われ、愛する妻と子を轢き殺されたマックスはマッドなマックスとなって、V8エンジンを搭載したインターセプターで暴走族を全滅させ、家族と同僚を殺された復讐を果たします。

こんなお話でした。

 

怒涛の事故シーン

デス・ロードでも映画冒頭から「良く分からない何か」に追い立てられているところから始まるわけですが、それは初代から始まっていました。冒頭、いきなり暴走している車とのカーチェイス(バトル?)から始まるのです。

そしてこのチェイスのままカースタントが連発されます。暴走車が止まっている車を引き裂いたり、大爆発したり。

また、映画の全般にわたって危ないスタントがあります。安全性を全く無視したような、「こうやって吹っ飛んで、受け身だけ取っといて」というような危なっかしいものばかり。「死人が出た」といううわさもあったとか(実際には出ていません)。

これらのスタントが今っぽく洗練されておらず、普通に事故を起こしてそれを撮っているようにしか見えないんですね。この「迫力あるシーンのためなら命の値段が軽い」ような感じがまた、不思議な興奮を呼び起こすのでした。

 

恐怖と興奮

まだ北斗の拳のような世界にはなっていませんが、トーカッター率いる暴走族がやりたいように集団で暴力をふるっています。車で逃げたカップルを意味も無く追いかけ襲ったシーンで、その手際の良さと楽しんでやっているだけという怖さに、こういう時代になってこいつらが無茶苦茶やってる世界になって久しいんだろうなと感じました。

暴走族は無茶苦茶です。ですがこれが気の弱い私の恐怖を刺激し続けました。

今の社会では法があり警察がいてくれたりと、暴力が一方的に幅を利かしつづけることはありません。ですが、何かで一皮むければ、人間の世界なんていつこんなことになるかもしれない。特に私は親でもあるので、自分だけの問題ではありません。

「もしこんな世の中になったら」という世界での暴力への怯えと、そしてバク速で走り続ける不安定な危険が、本能的な恐怖を呼びさましたような感覚を覚えました。そして、それがまたある種の興奮も喚起してきたようで、私は静かな恐怖と興奮をこの映画に味わい続けることになったのです。

また、「あぁ、ここで妻子は殺されてしまうんだろうな」というシーンのたびにじらされ、ずっとストレスを受けている感じも、恐怖や興奮を増長したかもしれません。

 

本能的な恐怖心と興奮、それがこの映画の私の最大の感想であり、デスロードでも感じたもしかしたらシリーズに通低している魅力なのかもしれません。

また、スタントが痛そうなシーンはありますが、実際にグロいシーンはありません。轢き殺すところや全身火傷を負って死んだ同僚の顔などは見せていません。血やグロシーンで興奮させるのではなく、あくまで感情を呼び起こさせるような興奮である点も、デスロードと共通しているように感じました。

 

気になってしまったところ

これだけ昔の名作にいまさらずぶの素人が感じた文句など書く資格は無いわけで、むしろヤボの極み。なのですが親としてどうしても気になったところがありましたのでその点だけ書き残させてください。

それは妻であるジェシーの子供の忘れっぷりです!

歯が生えて来たと言っていたので、まだ1歳ちょっとぐらいだと思うのですが、彼女が子供を気にしなさすぎるんですね。朝起きてマックスが布団にいなかったから探しに行ったシーン。流石に最初に探すのは子供にするべきですよね?

で、案の定子供が捕えられるんですが、それが起きる前に母親が子供の事を一瞥もせずに一人で遊びに行ってしまうんですね。暴走族に狙われていなくたって、時代が変わったって、それは流石に無いだろうと感じたし、今の言葉で言うならネグレクトですよね。子供がいないことに気付くのも遅すぎるし。

こういった部分は折角の興奮の中でつまらない引っかかりになってしまったので、もうちょっと脚本をなんとかしてほしかったな、と感じました。

失礼いたしました。

 

まとめ

古く、低予算感あふれた映画でしたが、デスロードに繋がる興奮は既にシリーズの骨子となっていました。

続編以降も楽しみになるほど面白かったです。

さー、近いうちに2観よ。