他力と自力と

家事と育児に追われるおじさんの、日記代わりの備忘録です

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 感想 ネタバレ

人生ベスト級キターー!

評判を伝え聞いてどうしても予備知識が無い内に映画館で観たかった作品、ちょっと無理をして時間を作って見に行きました。
結果、大正解!人生ベスト級でした!!

 

監督:ジョージ・ミラー

2015年:米国

 

※以下ネタバレありなので、ご注意ください。


マッド・マックスは北斗の拳の世界観の元ネタということは知っていたのですが、これまでの3作は未見。ですがこれ単体でも十分素晴らしさを満喫できます!

ただ残念ながら!こんなにも素晴らしい作品なのですが、「どこが良いの?」を表現しようとすると言葉に詰まるというか・・。この見ている側が急き立てられるような興奮と、その中から浮かび上がってくる実直な感動のツープラトンを私ごときの語彙で表すのは難しい。

なので備忘の為、せめて印象に残ったことだけでも書き残してみようと思います。

 

力で狩る世界観

映画冒頭、孤独なマックスが「狩られる」ところから始まります。
そのやり口は群れで獲物をとらえる動物のように、非道なまでにスムーズで統制されています(見た目はともかく)。
私は、この時代の生き残ってきた人間の「動物としての本能」がむき出しになっていることと、このような時代になって長いのだろうなと感じました。
映画が進みありとあらゆる種族にマックスたちは追われるのですが、命を借しまないように洗脳させたり、谷を利用してバイクの機動力を使う種族がいたり、それぞれの種族の文化が感じられます。
ベースとなる価値観とその上にある文化の違いがあり、素晴らしい世界観だなあと思いました。

 

ヒャッハー感

これまでは未見でしたが、私にとってのマッドマックスのイメージといえば北斗の拳でみた悪党どものヒャッハー感でした。その程度の予備知識でしたがこの映画では期待以上のヒャッハーが見られます。
映画のメインとなる、イモータン・ジョー率いるウォーボーイズ軍団との追っかけっこでは、喜んで命を捨てながらウォーボーイズが箍を外して襲ってくるところや、太鼓やギターと巨大アンプを載せたトラックで煽り続けるなどなど、まさに狂ったハイテンションが最高でした。
ギターのネックから出る火の煽るための量も面白ければ、ギター弾く奴の軽薄な感じのフォームも最高です。こいつはマックスが居るのにも戦うこと無く、ギターを弾き続けるだけの男でした。
こんなヒャッハーな世界観も、興奮の火にガソリンを吹きかけてくれます。
ただし振り返って考えると、実はこのウォーボーイズが狂っていることにもちゃんと設定があります。これまた素晴らしい。

 

疾風怒濤のアクション

この映画は、身体で!トラックで!バイクで!ひたすら走り続けるアクション・アクション・アクションの動の間に、ようやく呼吸できる場所のように静の場面が挟まれています。
観ていて本当に疲れますが、この怒涛のアクションの興奮こそがこの映画の大きな魅力の一つです。

また、セリフは非常に少ない映画です。いきなりIMAXでも大丈夫だと思います。

 

人間の変化による感動

アクション中心の映画ですが、なんとそのアクションの最中にまっとうに人間というものが描かれます。
最初は利用しあうだけ、殺し合うだけだった人間同士が、共通の敵を相手に協調し共闘する姿を見るだけでこみ上げてきます。
やがて少しずつお互いのことを知って仲間になり、心情を吐露し合い、最後には思いやりや助け合う気持ち、そして利他的な行動へと変わってきます。
この人の関わりと変化の中に、こんな世界でも人間ってこうありたいよね、こうだったら嬉しいよねという「まっとうなメッセージ」を感じました。

もう一度書きますが、大興奮アクションの「最中に」人間が変わっていくのです。そして無理矢理でもなく台詞でもなく雰囲気でもなく、ちゃんと演技や演出によって、人間の良さという堂々と見せてくれます。

これは本当に意外でしたが、このぶっとい「まっとうさ」が、この映画を特別なものにしていると感じました。

 

個人的に救われたこと

以下完全なネタバレになってしまうので、未見の方はご注意ください

この映画は、必死に目指してたどり着いた場所は既に荒廃して失われていることが分かります。先を見失った一行は当てもなく更に先に進もうとしますが、マックスの提案で追手を突っ切って逃げ出した村に戻るという選択をします。
ずっと魅せられていた追いかけっこが、まさか「あの場所に戻る」という話になるとは思ってもいなかったため本当に驚いたのですが、この「元いた場所が希望の地になる」という話に個人的に大いに救われてしまったのです。
この辺りは別エントリで愚痴を吐き出させていただくつもりなのですが、いま私はかつての自分を失っていて、困った結果別の自分を探してあがいているものの全く希望が見えていない状態なのです。もがくことにも疲れていました。そのなかで「もといた場所」イコール「既にダメになった自分」という意味で考えもしなかったのです。
なのですが見方を変えれば「ダメになった自分」が希望になるんだと、自分の中に希望が湧いたようなそんな思いをさせてもらったのです。全くの勝手な個人的な解釈なのですが、「戻る」という展開が、もがく気力すら失った自分にとっては「希望を取り戻す」ように思えたのです。

私にとっては、本当に救われるようなメッセージであり、これにも涙があふれました。

 

まとめ

いざ書きだしたらだらだらと長くなってしまったので、それはこの映画に相応しくない。

この辺でもうまとめます。

まず、これらの世界を体現した役者の皆様は本当に素晴らしい。
特にシャーリーズ・セロンさんは表情だけで私の中の感情を揺さぶり続けてくれました。私はミニミニ大作戦で美しいと思った後、ヤング・アダルトで勝手に心配し、プロメテウスであの馬鹿さ加減にがっかりしていたのですが、本当に本当に素晴らしい演技でした。
脚本も最高!シンプルなストーリーですが、それなのにどれだけ感情を揺さぶられたか。さりげない単語やしぐさ(種・血・手・「俺を見ろ」)が伏線になっていたのもグッときますし、それぞれが最初に出てきたときと正反対の意味合いになっているのもすばらしいですよね。


思い出せば出すほど、感じること考えさせられることが増えてきて、本当に密度の高い映画だったことが分かります。

でも!ゴアや凄惨な描写はありません!!
そんなものは使わずとも、ストーリー、映像、美術、音、ありとあらゆる要素が最高レベルの、真正面から作られた大馬鹿大真面目映画です。

この映画に年齢制限があるのはもったいない!と思います。むしろ中学生の夏休み感想文の課題作品にするべき!というほど。

 

この情熱と感動を大興奮と大感動で、久しぶりの笑いながら泣いている状態にさせてもらったこの映画。私のようなものにいえることは、「ジョージ・ミラー監督、そして映画に関わった皆様、本当にありがとうございます」ということだけです。
今回は時間の都合で2D字幕版だったのですが、IMAX版も観たい!
ですが難しそうなので、ブルーレイ発売を待とうと思います。
もし興味が湧いたら是非劇場でご覧ください!

というか何でもいいからもう一度観たい!
「イモーターーーーン!」