他力と自力と

家事と育児に追われるおじさんの、日記代わりの備忘録です

「LEGOムービー」 感想 ネタバレ無し

全てがサイコ~♪

 

2014年 米国・豪州・デンマーク

監督:クリトファー・ミラー/フィル・ロード

映画は全く詳しくないのですが、好きでたまに観ています。

映画館にはなかなか行けないので、レンタルDVDでの鑑賞が主になります。

どんな映画を見たか、すぐ忘れてしまうので、備忘のための感想駄文です。

 

※今回はネタバレなしです。

 

 

大傑作「くもりときどきミートボール」のクリトファー・ミラー&フィル・ロード監督の新作コメディということで絶対に劇場で観たかったものの都合がつかずに叶わなかった作品、ようやくレンタルされたということで早速借りてきました。

いやー最高でした!

 

レゴ描写へのこだわり

本作はレゴの映画なわけですが、その描写こだわりがすごい!

さすがにCG作品だと思うのですが、youtubeなどにあがっている一般の方がストップモーションで撮ったレゴ動画と同じように、わざとちょっとカクカクと作っています。1シーン1シーンレゴを動かしながら撮っているように。ちゃんとレゴの動画を撮るということがどういうことなのか、そしてその趣味を持ってきた方々への配慮も感じます。

そして映画の舞台もほぼ全てレゴで構築されています。目に映るものの大半がレゴで作られた世界は圧巻です。単に街や道路だけではなく、例えば海のうねりや汽車の煙、シャワーの水や地面のちょっとした砂煙までをレゴで描写しています。

私はレゴはほとんど触ったことが無くて知識も無いのですが、恐らく画面に出てくる全ての部品が実在のものです。そう感じるぐらい、作り手たちのレゴ映画としての描写のこだわりがビンビンに伝わってくるのですが、恐ろしいことに実在の部品の可動域だけしか動かしていないんですね。主人公エメットは最も量産されている一般的な人間型のパーツなのですが、その可動域は首、両肩、両足、手首ぐらいしかありません。映画の冒頭で朝起きて体操するシーンがあるのですが、その可動域の少なさをギャグにしています。また、ヒロインのワイルドガール初登場の時は、髪がなびく姿を頭についた髪型パーツを左右に振ることで表現するというギャグもありました。ギャグとしても素晴らしいのですが、全編にわたり実物のレゴのパーツをそのまま活用してしっかりと大迫力の映像にしている、その誠実的な態度に感動します。

とにかく一見でその世界の迫力と強い思い入れを存分に感じられると思います。そして、その情報量の多さは一回の観賞ではとらえきれないほどでしょう。

 

レゴを通じた人間側のテーマ

レゴといえばもちろん皆さんが知っているあの玩具なのですが、本作の作り手たちはそれにとどまらず、レゴを使う人間側についても様々な角度から考え抜います。

例えばテーマの一つとして、作り手側の問題が提示されます。例えばレゴを購入すると「マニュアル」という、その通り構築すれば意図したものが作れるプラモデルの設計書のようなものがついてくるようです。このマニュアルに沿えば誰でも同じように作ることができますが、マニュアルに沿って作ることは誰がやっても同じものができるわけです。作品内でオリジナル作品を作り上げるマスタービルダーと言われる人たちの「創造性」と比較されます。普段マニュアルに沿ってしか作っていない主人公は、自力で作ることができずバカにされてしまうのです。そこに葛藤が生まれます。このように、レゴを通じて見える人間性ということをしっかり考え抜いて、テーマとして盛り込んでいるんですね。そして投げっぱなしではなくしっかり解決をしている。先のマニュアル人間の問題についても見事な着地を見せてくれます。

レゴとは何か?そしてこの切り口からあぶり出される人間性とは何か?について、テーマとしてしっかりと語ってくれています。

 

大人向けジョーク

クリトファー・ミラー&フィル・ロード監督といえば期待せずにはいられない、大人向けジョークの数々は今回も大量に盛り込まれています。「全てはサイコー!」という曲が洗脳で使われていたり、従業員がマニュアルに沿って買うコーヒーが異常に高かったりには爆笑してしまいましたが、社会風刺的な視点であったり、厨二病を揶揄するような歌があったりなどなど、ギャグの質量でも大満足でした。

というか、子供にはわからないギャグばっかりかも・・。立派なルックとテーマだけでそりゃ大した作品なわけですが、もちろんこれをコメディ映画という括りでしっかり笑える中に収めるのがすごいと思うのです。

 

強いメッセージ

私は本作をコメディとして観ていましたが、2~3カ所で大泣きしてしまいました。

何故かというと、この映画がまっとうで真っすぐな強いメッセージを伝えてくれて、それに感動したからです。私が特に重要なメッセージとして受け取れたのは2個あったのですが、そのいずれも素晴らしいものでした。

しかもこの作品は、その表現方法が秀逸です。私は一瞬あっけに取られてしまいましたが、これはネタバレしません。是非観賞してその素晴らしさを多くの方々に感じていただきたいです。

 

まとめ

本エントリはネタバレ無しということで、最も感動した点は伏せます。ですが、それ以外の部分でも及第点は軽く突破した素晴らしい映画でした。

「レゴとは何か」「レゴの映画を作るとはどういうことか」ということを、作り手たちが真摯に真剣に深く考えて、それをビジュアルとストーリーに盛り込んで素晴らしい作品として創り上げてくれました。先日エントリを書かせていただいた「泣ける」というテーマで作られたCG映画に私が感動出来なかったのは、先にこの作品を観ていたせいかもしれません。しかもベースはコメディとして笑えるし、そのちょっとブラックなテイストもサイコ~♪

とにかく情報量が多く忙しい映画、しかも演者がレゴということで動きがわかりずらいところもありました。なので、こういった点を受け入れられない方は難しいかもしれませんが、大人の方、特に小さな子供を持つ親の立場の方には伝わるものがあるのではないかと思います。